ドクター・ストレンジ【ネタバレ感想】

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以下、全てネタバレです。(ふせったーからの転載)

 

 

ストレンジとエンシェント・ワンの会話がすごく印象に残ってて、スリング・リングで魔法のどこでもドアを出す修行でストレンジが上手く出来ない時、

ワン「流れに逆らわず、流れに身を委ねてそれを己の力として使うのです」
ストレンジ「流れに身を委ねることで己の力とする?理解できない(That doesn't make sense.)」

ワン「理解する必要はない(Not everything does. Not everything has to.→すべてを理解できるわけではない。すべてを理解しなければならないということもない)」

エンシェント・ワンのこの台詞は、どちらかと言えば宗教観に近いものなんだと思うけど、私にはこの言葉が今の世界を取り巻く多様性への『理解』へ投げかけられたように聞こえた。異質なものに出逢った時、『理解』しようとすることは実は支配的な要素を含んでいて、あくまでそこにあるものをそのまま受け止める、受け入れるってことが必要なのかなぁと思った。

少し脱線するけど、上の会話のあとストレンジがエンシェント・ワンにエベレストに置き去りにされて、ワンがカマルタージでひとり待っている後ろからモルドがストレンジの姿がないことに気づいて「まさか…また?」とワンに言うの、もしかしてカエシリウスにも同じことをしたのかなぁと考えた。そしてモルドが「私が迎えに…」と焦ったのは、もしかしたらカエシリウスは自分の力では戻ってこれずワンかモルドが迎えに行ったんじゃないかなぁ。ストレンジがカエシリウスと全く同じ道と辿ったからと言って、ストレンジが闇の魔術に堕ちるかどうかはわからないんだけど、あそこでワンも明らかに落ち着かない表情をしつつもストレンジが自力で帰ってくるまで待ったのは、ここでストレンジの道がカエシリウスのそれと分岐するかもしれない、という期待からだったのかな、と思った。

話は戻ってストレンジとエンシェント・ワンの会話、2つめはまさにワンがアストラル体になって、時の流れを限りなく遅くしてNYを眺めるシーンで、

ワン「あなた(ストレンジ)とモルドが共にあって初めてドルマムゥを倒すチャンスが生まれる」
ストレンジ「私はまだ準備ができてない」
ワン「誰しもそうです」

この会話も何故かすごく個人的に受け取ってしまって、新しいことや困難なことに立ち向かう時には準備万端であることの方が少ないんだ、と目から鱗が落ちた気持ちでした。ストレンジも、常に準備万端でやれるオペしかして来なかった。だからこそそこから1歩、踏み出す必要があったんだろうなぁと思った。

ドクター・ストレンジは、アクション映画ではあるけど、実は人生において誰もがぶち当たる壁や葛藤、そしてそこに射す一筋の光も描いているように思えた。