『赤と白とロイヤルブルー』アレックスの声明(逐語訳) 【ネタバレ】

Privatterより一部添削の上転載

プライムビデオで配信中の『赤と白とロイヤルブルー』において、ヘンリーとの関係をアウティングされたアレックスが、ホワイトハウスで行った声明の日本語訳に物足りないかなと思う箇所があったので、できる限り逐語訳してみた。
字幕も吹替も文字数に制約があり、要約が必要であることは十分承知した上で、アレックスの声明の中の「クィアであること」「クィアであることを周囲に伝える/伝えない権利」について極力略さずに訳出した。
あくまで素人和訳なので、参考までにご覧いただければありがたい。

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頭の中がとっ散らかった時のストレス対処法と、戦略的逃避の最終手段としての「だが、今日ではない」の使いどころ

遡ること約4年前、自分を鼓舞するために、「だが、今日ではない」と題した記事を書いた。

世界を覆い尽くしつつあったパンデミックと、それに伴う個人的事情に関して折り合いをつけるため、ここで諦めてたまるか、と己を鼓舞するための文だった。

あの時、世界にはこれ以上悪いことは起きないだろうと思っていたが、そんなことはなかった。
年末年始、身内も色々バタついた。
そして奇しくも、また春が巡ってくる。安定の心身共にガッタガタの季節が。

しかし現状、日常生活を送れる程度にある私は、日常生活を送らねばならない。「〜しなければならない」という表現は嫌いだが、どのみち人生は続く。

そもそも私の頭の中は、何もしていなくても、いや何もしていないからかもしれないが、常にひどくうるさい。身近な問題、世界的な懸念、未来への不安やらで始終ゴチャゴチャしている。あまりにうるさいので、去年からカウンセリングを受け始めた。

カウンセラーに言われたことをそのままここに書くことはしないが、聞いた話を参考に、私は自分の頭の中を机として考えることにした。脳内イメージの大きさは勉強机ほど。
その上に、隙間も見えないほど色んな考えが乗っている。むしろ、隙間が見えると怖くなって、不安要素を探してはまた埋めてしまおうとすらしてしまう。そのうちに机の上は雑多に溢れかえり、溢れて零れた考えはなぜか上からまた降ってきて机の上に乗る。

理想は、その机の上が真っさらになることだ。整理整頓なんてしゃらくさい。どうせろくなことが乗ってないから、全部ザーッと落としてしまいたい。
けれど机の上から無くそうとすればするほど、考えがゴチャゴチャしてきて、結局どうにもならない。どうやっても悩みは無くならない。

ああ、頭の中が喧しいな、どうにも収まらないな、と思ったらできるだけリラックスした体勢を取る。
目を閉じられるほど自分が安心できる環境だとなおいい。トイレの中とか、ベッドの中とか。で、5秒吸って10秒吐く。とりあえず今自分は自分の安心できる場所にいて、寒くもなければ暑くもなく、呼吸も出来ていることを確認する。自分の呼吸に集中する。
10分ほどもそうしていられれば理想だが、正直私は5分も無理だ。だから1分でもいい。30秒でも。

そうやって、一瞬でも頭の中の机から意識が離れたら、机の上のゴチャゴチャを一旦机の脇に全部寄せる。
片付け下手の子供が、教科書や漫画を片付けろと言われて苦しまぎれにやる、あの程度でいい。
とりあえず寄せる。上から降ってきたらそれも脇に寄せる。下から湧いてきたらそれも寄せる。

わずかでも机=頭の中に余白ができたら儲けものだ。

その余白は、ずっと保つことはできない。何もしないままだとせいぜい10秒がいいところだ。
だからそこに、他に何も考えなくていい作業を詰め込む。

読書でも、映画でも、配信ドラマのイッキ見でも、ゲームでもいい。刺繍でも、カリグラフィーでも、編み物でも、料理でも、お菓子作りでも、筋トレでも、絵を描くのでも、字を書くのでも、仏像を彫るのでも、何でもいい。
できれば、独りでできることを選ぶ。理想は、達成感を得られて、疲れすぎないものがよい。

私の場合、それが読書とボルダリングだ。
しかし、くれぐれも過集中には注意*1である。私は集中力にムラがある一方、一度集中するとなかなか抜け出せなくなる傾向がある。

過集中は、作業の種類にもよるが、目の疲れや肩こり、その他の弊害*2を生む場合がある。

それに、残念ながらこういう心の隙間を埋める作業にも限界は来る。本はいつか読み終わるし、ボルダリングは毎日行っていたら身体が保たない。

だから私は、心がどうしようもなく滅入る時には「だが、今日ではない」と自分に言い聞かせることにしている。戦略的Not Todayだ。

過去の失敗を思い出し、もう人と会うまいなどと決意しそうになる時がある。

人と比べてあれもできない、これもできない、こんなことすらできなかった、と怒涛のように自己肯定感を自ら地に落とそうとする日がある。

この先、生きてて何かいいことあんのかなぁと、ふと頭を過ぎる夜がある。

しかしそういう、暗く濁った心を全て、「だが、今日ではない」と明日に追いやることにする。

もっと切羽詰まった時には、「けど今じゃない」にする。Todayすらもどかしい時の、戦略的Not Nowである。

頭を空っぽにしてスイカゲームをひと頻りやり、メロンどころかパインしかできねーじゃん、と不貞腐れながら寝る。

あとは明日考えればいい。明日できることは今日やらない。しかし明日やるとも言っていない。

明日の私がきっと、「昨日の私が言ったこと? 今日の私とは担当者が違うのでちょっとわからないですね…」とサービス精神ゼロの対応をすることだろう。それでいい。

そうやって日々をどうにか過ごすための、これは戦略的逃避としての「だが、今日ではない」の使い方である。

 

*1: ここ3年で読んだ本を数えた。

*2: その他の弊害、指を怪我した時の話。

Wordleで最初に試す単語の最適解を見つけてしまった

以前、こんな記事を書いた。

タイトル通り、Wordleという英語のパズルゲームを、英語の語彙が少なくても辞書を使わずにどうにか正解に辿り着けないか、ということに頭を捻っていた。
【役に立たない】と銘打ったように、読み返しても参考になるかどうか書いた本人ですら謎だった。

しかし最近、前述の記事で書いていた「aeiouの母音を早めに突き止める」を最短で可能にする単語を知った。
これを書くことで、難易度が格段に下がるのではと怖くなるほどだ。

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世界からTwitterが消えたら

既に世界からTwitterは消えているが、『X(旧Twitter)』と表記が残り、URLが“twitter.com”である限りTwitterと呼ぶことにする。

10年近くのあいだで築いたTLが消え去るのはつらいが、誰かが作ったサービスである以上終わることも避けられないと思うので、退避先を以下にまとめておく。

 

世界からTwitterが消えたら、この中のどこかにいる


世界からTwitterが消えたら、恐らく共に消え去るけど置いておく

  • 様々なツイート(Twitterモーメント込み)まとめ。カヴィルさん&クリエヴァ関連翻訳だったり妄想だったり ↓

min.togetter.com


その他

 

それでは皆さん、どこかでお逢いしましょう。

約3年間で読んだ本とページ数を数える

本を読まないと夜をやり過ごせない、という記事を書いてからかれこれ2年半ほどが経った。

これを書く前から本を読み漁るようになっていたので、溺れるように読書にのめり込んでからざっくり3年ということにする。
あの頃ほど読書に没頭してはいないが、今もKindle Paperwhiteで本を読みまくっていることは確かだ。(没頭していない、とは?)

で、文字に溺れ出してから現在に至るまで、結局どれくらいの物量を読んだのか数えてみたくなった。ミステリやフィクションに絞り、人文科学系は省く。

どのみち今週はボルダリングには行けず、他の家事をやる気力もないので逃避行動に走ることにする。理由は前回の記事に。

冊数もだが、Amazonを見るとページ数が書いてあるのでページ数も数えてみたい。
(以下、括弧内はページ数。全てAmazonKindleKindleに記載がない場合には文庫ページ表示に準拠。多少の誤差はお目溢しを)

著者および作家の並びは、読み始めた時期が早いか遅いか+読んだシリーズ数が多いか少ないか+私の好みにもぼんやり基づいているが、これといった分類法はない。
後々、注釈でネタバレなし紹介や感想を書き加えていこうと思う。むしろ注釈が本編という説すらある(注釈から逆引きみたいな感じで読みたい、という方はここ*1からどうぞ)。

肩こりと眼精疲労が心配だが、何はともあれやってみよう。

スクロールする手間をかけずに冊数とページ数だけ知りたい方は、目次の末尾の【集計結果】へ。

アガサ・クリスティー

〈名探偵ポアロ〉36冊

  • スタイルズ荘の怪事件(295)
  • ゴルフ場殺人事件(299)
  • ビッグ4(280)
  • 青列車の秘密(360)
  • 邪悪の家(297)
  • エッジウェア卿の死(379)
  • オリエント急行の殺人(333)
  • 三幕の殺人(300)
  • 雲をつかむ死(326)
  • ABC殺人事件(333)
  • メソポタミヤの殺人(341)
  • ひらいたトランプ(396)
  • もの言えぬ証人(423)
  • 死との約束(310)
  • ポアロのクリスマス(376)
  • 杉の柩(325)
  • 愛国殺人(306)
  • 白昼の悪魔(322)
  • 五匹の子豚(331)
  • ホロー荘の殺人(397)
  • 満潮に乗って(351)
  • マギンティ夫人は死んだ(357)
  • 葬儀を終えて(388)
  • ヒッコリー・ロードの殺人(310)
  • 死者のあやまち(382)
  • 鳩のなかの猫(381)
  • 複数の時計(501)
  • 第三の女(343)
  • ハロウィーン・パーティ(354)
  • 象は忘れない(294)
  • カーテン(303)*2
  • ブラック・コーヒー(338)
  • ポアロ登場(303)
  • 死人の鏡(441)
  • ヘラクレスの冒険(439)
  • ポアロとグリーンショアの阿房宮(135)

(「アクロイド殺し」、「ナイルに死す」を除く全巻*3
ページ数:12,349pp.

ミス・マープル〉13冊

  • 牧師館の殺人(357)
  • 書斎の死体(278)
  • 動く指(321)
  • 予告殺人(395)
  • 魔術の殺人(309)
  • ポケットにライ麦を(323)
  • パディントン発4時50分(346)
  • 鏡は横にひび割れて(372)
  • カリブ海の秘密(287)
  • バートラム・ホテルにて(338)
  • 復讐の女神(380)
  • スリーピング・マーダー(308)
  • 火曜クラブ(348)*4

ページ数:4,362pp.

〈トミーとタペンス〉5冊

  • 秘密機関(370)
  • おしどり探偵(346)
  • NかMか(344)
  • 親指のうずき(389)
  • 運命の裏木戸(382)

ページ数:1,831pp.

その他 1冊

ページ数:387pp.

計55冊/18,929pp.

コナン・ドイル

シャーロック・ホームズ〉9冊

計9冊/2,897pp.

ホームズ/パスティーシュ

ボニー・マクバード著 3冊

ページ数:1,170pp.

ジェイムズ・ラヴグローヴ著 1冊

ページ数:373pp.

計4冊/1,543pp.

京極夏彦

百鬼夜行・長編〉9冊

ページ数:10,096pp.

〈今昔百鬼拾遺〉1冊

  • 今昔百鬼拾遺 月〈「鬼」「河童」「天狗」合本版〉(1,160)*12

ページ数:1,160pp.

〈百器徒然袋〉2冊

  • 百器徒然袋・雨(665)
  • 百器徒然袋・風(746)*13

ページ数:1,411pp.

〈虚実妖怪百物語〉1冊

  • 虚実妖怪百物語 序/破/急(1,335)*14

ページ数:1,335pp.

計13冊/14,002pp.

有栖川有栖

〈火村英生〉(作家アリス)27冊

  • 46番目の密室(322)*15
  • ダリの繭(412)
  • ロシア紅茶の謎(289)
  • 海のある奈良に死す(375)
  • スウェーデン館の謎(327)
  • ブラジル蝶の謎(282)
  • 英国庭園の謎(276)
  • 朱色の研究(375)
  • ペルシャ猫の謎(267)
  • 暗い宿(276)
  • 絶叫城殺人事件(322)
  • マレー鉄道の謎(415)
  • スイス時計の謎(288)
  • 白い兎が逃げる(353)
  • ロッコ水晶の謎(266)
  • 乱鴉の島(410)
  • 妃は船を沈める(247)
  • 火村英生に捧げる犯罪(268)
  • 長い廊下のある家(270)
  • 高原のフーダニット(283)
  • 菩提樹荘の殺人(288)
  • 怪しい店(283)
  • 鍵の掛かった男(591)
  • 狩人の悪夢(432)
  • インド倶楽部の謎 (458)
  • カナダ金貨の謎(317)
  • 捜査線上の夕映え(491)

ページ数:9,183pp.

〈江神二郎〉(学生アリス)3冊

  • 月光ゲーム(334)
  • 孤島パズル(365)
  • 双頭の悪魔(640)

ページ数:1,339pp.

計30冊/10,522pp.

夢枕獏

陰陽師〉19冊

ページ数:5,182pp.

〈沙門空海 唐の国で鬼と宴す〉4冊

  • 〈一〉(447)
  • 〈二〉(456)
  • 〈三〉(439)
  • 〈四〉(516)*18

ページ数:1,858pp.

計23冊/7,040pp.

綾辻行人

館シリーズ〉15冊

計14冊/4,897pp.

島田荘司

御手洗潔〉4冊

  • 占星術殺人事件 改訂完全版(467)
  • 斜め屋敷の犯罪 改訂完全版(357)
  • 異邦の騎士 改訂完全版(418)
  • 御手洗潔の挨拶(319)

計4冊/1,561pp.

 

エラリィ・クイーン

〈エラリィ・クイーン〉6冊

  • 災厄の町〔新訳版〕(401)
  • フォックス家の殺人〔新訳版〕(385)
  • 十日間の不思議〔新訳版〕(402)
  • 九尾の猫〔新訳版〕(404)
  • ダブル・ダブル〔新訳版〕(377)
  • 靴に棲む老婆〔新訳版〕(356)

計6冊/2,325pp.

ユッシ・エーズラ・オールスン

〈特捜部Q〉5冊

  • 特捜部Q―檻の中の女―(524)*19
  • 特捜部Q―キジ殺し―(528)
  • 特捜部QーPからのメッセージー〈上〉(354)
  • 特捜部QーPからのメッセージー〈下〉(319)
  • 特捜部Qーカルテ番号64ー(625)

計5冊/2,350pp.

G・K・チェスタトン

〈ブラウン神父〉5冊

  • ブラウン神父の童心(376)*20
  • ブラウン神父の知恵 (329)
  • ブラウン神父の不信(311)
  • ブラウン神父の秘密(289)
  • ブラウン神父の醜聞(312)

計5冊/1,617pp.

ピーター・トレメイン

〈修道女フィデルマ〉6冊

  • 蜘蛛の巣〈上〉(320)
  • 蜘蛛の巣〈下〉(320)
  • 修道女フィデルマの叡智(278)
  • 蛇、もっとも禍し〈上〉(352)
  • 蛇、もっとも禍し〈下〉(320)
  • 修道女フィデルマの挑戦(279)

計6冊/1,869pp.

シャナ・デリオン

〈ワニの町へ来たスパイ〉5冊

  • ワニの町へ来たスパイ(293)*21
  • ミスコン女王が殺された(321)
  • 生きるか死ぬかの町長選挙(323)
  • ハートに火をつけないで(335)
  • どこまでも食いついて(318)

計5冊/1,590pp.

アリスン・モントクレア

〈ロンドン謎解き結婚相談所〉2冊

  • ロンドン謎解き結婚相談所(443)*22
  • 王女に捧ぐ身辺調査(441)

計2冊/884pp.

ジョシュ・ラニヨン

〈殺しのアート〉3冊

  • マーメイド・マーダーズ(357)*23
  • モネ・マーダーズ(414)
  • マジシャン・マーダーズ(341)

ページ数:1,112pp.

〈殺しのアート〉スピンオフ 1冊

  • ウィンター・キル(307)

ページ数:307pp.

アドリアン・イングリッシュ〉2冊

  • 天使の影(278)
  • 死者の囁き(336)

ページ数:614pp.

計6冊/2,033pp.

リチャード・オスマン

〈木曜殺人クラブ〉2冊

  • 木曜殺人クラブ(442)*24
  • 木曜殺人クラブ 二度死んだ男(448)

計2冊/890pp.

M・W・クレイヴン

〈ワシントン・ポー〉3冊

計3冊/1,475pp.

マーサ・ウェルズ

〈マーダーボット・ダイアリー〉4冊

  • マーダーボット・ダイアリー〈上〉(274)*26
  • マーダーボット・ダイアリー〈下〉(312)
  • ネットワーク・エフェクト(502)
  • 逃亡テレメトリー(203)

計4冊/1,291pp.

 

アビール・ムカジー

ウィンダム警部&バネルジー部長刑事〉3冊

計3冊/1,348pp.

アンディ・ウィアー

〈プロジェクト・ヘイル・メアリー〉2冊

  • 〈上〉(375)*28
  • 〈下〉(359)

計2冊/ページ数:734pp.

 

シオドラ・ゴス

〈アテナ・クラブ〉3冊

  • メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち(480)*29
  • メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行 1 ウィーン篇(493)
  • メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行 2 ブダペスト篇(410)

計3冊/1,383pp.

エリー・グリフィス

〈刑事ハービンダー・カー〉2冊

  • 見知らぬ人(483)
  • 窓辺の愛書家(439)*30

計2冊/ページ数:922pp.

 

アンソニーホロヴィッツ

ホーソーンホロヴィッツ〉1冊

  • メインテーマは殺人(376)

ページ数:376pp.

その他 3冊

ページ数:1,151pp.

計4冊/1,527pp.

 

劉慈欣

〈三体〉5冊

  • 三体(516)*31
  • 三体II 黒暗森林〈上〉(388)
  • 三体II 黒暗森林〈下〉(402)
  • 三体Ⅲ 死神永生〈上〉(490)
  • 三体Ⅲ 死神永生〈下〉(496)

計5冊/2,292pp.

S・S・ヴァン・ダイン

〈ファイロ・ヴァンス〉3冊

  • 僧正殺人事件(438)
  • ベンスン殺人事件(405)
  • カナリア殺人事件(395)

計3冊/1,238pp.

 

ホリー・ジャクソン

〈自由研究には向かない殺人〉3冊

  • 自由研究には向かない殺人(564)*32
  • 優等生は探偵に向かない(542)
  • 卒業生には向かない真実(670)

計3冊/1,776pp.

ジョセフィン・テイ

  • 時の娘(284)*33

計1冊/284pp.

ディアナ・レイバーン

  • 暗殺者たちに口紅を(352)*34

計1冊/352pp.

 

ケイシー・マクイストン

  • 赤と白とロイヤルブルー(525)*35

計1冊/525pp.


シャーロット・マクラウド

〈ピーター・シャンディ教授〉2冊

  • にぎやかな眠り(369)
  • 蹄鉄ころんだ(316)

計2冊/685pp.

リース・ボウエン

〈英国ひつじの村〉2冊

  • 巡査さん、事件ですよ(259)
  • 巡査さんと村おこしの行方(276)

計2冊/535pp.

 

コリン・デクスター

モース主任警部〉1冊

  • オックスフォード運河の殺人(224)

計1冊/224pp.

F・W・クロフツ 

  • 樽(420)

計1冊/420pp.

ジョン・ル・カレ

  • スパイたちの遺産(365)

計1冊/365pp.

マッケンジー・リー

  • 美徳と悪徳を知る紳士のためのガイドブック(486)

計1冊/486pp.

マーク・グリーニー

計1冊/464pp.

 

 

以上!!

 

冊数とページ数を書き出したところで、「誰か代わりに合計を計算してくれないかな…」と思ったことは秘密(特にページ数)。

 

【集計結果】

234冊

93,275pp.

でした。

肩こりと目の疲れがヤバい。お疲れ様でした。

 

*1:注釈はここからです。

*2:ポアロの「最後」って考えたことがなかったので、この作品は驚きだった。

*3:アクロイド殺し」はNHKで流れていたドラマと三谷幸喜が翻案したドラマの記憶が新しく、「ナイルに死す」は一時期何度も読み返したのとドラマもよく覚えてるので省いた。

*4:これぞ短編ミステリのお手本!みたいな1冊。ミス・マープルの短編はもっと読みたかった。

*5:今回初めて読んで、こんな話だったんだ?!と驚いた。

*6:このページ数でここまで面白いんだからすごい。

*7:クトゥルフを通ってこなかった人生だったので、少しぶっ飛んでるな〜と思って読んだ。作中、アステカの神の名前が間違えてるのは原書からなのか気になる。

*8:〇〇年ぶりに全巻読み返したが、細部を覚えてなくてびっくりした。初めて読んだ時はぶっ飛んでるな〜と思ってた榎木津さんが実は1番まともだったので改めてびっくりした。

*9:最近ミュージカルになったらしく、「この分厚さをミュージカルにしたら京極堂の語りだけで上演時間が終わりそう」と思った。

*10:メモまで取って宴の始末と共に読み返したが、数年後にまた読んだらまた内容忘れてると思う。コスパいい。

*11:榎木津さんってなんだかんだ関口さんに優しいよな、と思った。9冊の中で好きな作品はどれ?と聞かれたら多分これ。

*12:「鬼」は、ラストまで読んでからタイトルの意味に震えた。

*13:薔薇十字探偵社(榎木津さんの探偵事務所)のスピンオフはもっと読みたい。

*14:文庫版でこの分厚さはどうかしてると思う(褒めてる)。京極夏彦本人、荒俣宏水木しげる御大が出てきたりと、メタ的な面白さがある。

*15:ドラマから入ったので、火村英生が斎藤工で脳内再生される。しかしアリスの風采があまり描写されない(そもそもアリスの視点で話が進む)ので、窪田正孝での脳内再生はところどころ綻びが出る。ともあれ、終始テンポが良く読みやすいシリーズである。

*16:ゆるやかな話の繋がりはあるが基本的に一話完結ものなのでサクサク読める。野村萬斎主演の陰陽師しか知らなかったが、原作は映画の冒頭に採用されたような小さな事件が淡々と続く感じで好き。映画版の道尊(真田広之)みたいな悪役はほぼ出てこなくて驚いた。映画の派手さも好きだった。晴明と博雅の仲の良さは、原作の方が熟成されている。

*17:夢枕獏陰陽師にしては珍しい長編でめちゃくちゃ面白い。以前ドラマ化されてたけど、改めて実写化してくれないかな〜と思っている。賀茂保憲とその式神・沙門(ドでかい黒猫)を具現化して欲しい。

*18:これ↓の原作である。であるが、映画と違いすぎて驚いた(先に映画を観た)。

*19:事件発生から時間が経った事件(いわゆるコールドケース)を追う話だけど、全体的にエグい。エグいが面白い。主役の身の回りにもままならない問題が起きて辛い。辛いが面白い。

*20:私はBBCドラマでブラウン神父を知ったのだが、原作とドラマは本当に別物である。時代背景も違う。が、どっちも面白い。

  • *21:女スパイと一癖も二癖もあるおばあちゃんズの話。アメリカの片田舎での暮らしはリアルだけど、基本ドタバタコメディ風なのでリアリティとかは無視して読むと楽しい。けど、要所要所でジーンとする展開もある。

    *22:第二次世界大戦直後のロンドンで、諜報活動に従事していたアイリスと貴族の未亡人グウェンが結婚相談所を開く話。と書くと硬そうだけど「謎解き」とタイトルにあるように推理もの。主役二人の関係性が好き。

    *23:美術に絡む犯罪専門のFBI捜査官と、連続殺人犯の逮捕に執念を燃やす伝説のFBI捜査官が、とある事件で出会う。事件の行方と共に二人の関係も気になる。

    *24:老人ホームの入居者たちが活躍するミステリ。すごく面白い。

    *25:読み始めは取っつきにくいかと思ったけどぐいぐい読める。ワシントン・ポーとティリー・ブラッドショーのコンビが良い。

    *26:一人称を「弊機」にした翻訳者は天才。初めて読む時は世界観に慣れていなかったが、世界観に馴染んだ後に読み返すと面白さが倍増する。ちなみにApple TVで実写化が発表されたが、「弊機」はスカルスガルドじゃない…気がする。

    *27:独立運動の気配が色濃い英国領インド・カルカッタで、第一次世界大戦の傷を抱えたウィンダム警部と、イギリスで一流の教育を受けたインド人エリートバネルジー部長刑事が事件に挑む話。巻を重ねるごとに面白くなっていく。

    *28:物理学&材料工学の知識欲しい〜!!となった。正しいサイエンスフィクション。ライアン・ゴズリングで映画化、という噂を聞いて、「ああ、ライアン・ゴズリングならあれもこれも大丈夫かもな…」と思った。お前はライアン・ゴズリングの何を知っていると言うのか。

    *29:タイトル通り『ジキル博士とハイド氏』や、その他の怪奇小説の登場人物が実在しており、それぞれに関係する女性たちが活躍する話。個人的には2巻目からがとても好き。

    *30:1作目で脇役的存在だったハービンダー・カーが主役になり、テンポよく読めた。続きがあったら読みたい。

    *31:プロジェクト・ヘイル・メアリーと並行して読んでいたので、またしても物理学の知識〜っ!!となった。物理学に造詣が深い人しか宇宙で生き残れない説ある。

    *32:個人的に今年1番驚いたシリーズものである。それ以上は言わない。

    *33:早川書房Kindleセールをやるたびオススメしているが、本当に面白いので歴史もの&ミステリが好きな方は是非。

    *34:とてもとても好きな作品で、感想記事も書いた。

    *35:読了後にプライムビデオで実写化され、これも感想記事を書いた。自分はこういうのが観たかったんだなぁと気付かせてくれた。

  • “Welcome to the club!”は、クラブに歓迎しているわけではない

    Instagramで「#ボルダリング」で検索していると、時たまレントゲン画像が目に入る。
    中には手術後の痛々しい処置後の画像を載せているアカウントもあり、Instagramはそこは弾かないんだ、と驚くと同時に、これほど多くの人が何故SNSにわざわざレントゲン画像を載せるのか、理解できないでいた。

    しかし、確かにボルダリングは割とカジュアルに大怪我をするスポーツだ。
    この1年で、ボルダリングジムで救急隊員に出くわした経験が2回ある(追記:その後さらに2回見た)。
    あらゆるスポーツに怪我の危険は伴うが、ボルダリングには重力という地球最強の味方がいる。そして身ひとつで登るので、初心者にも上級者にも満遍なく怪我の危険は付きまとう。

    そして一昨日、私はボルダリング中に右薬指から異音を聞いた。
    パキッ、というか、バキッ、というか、なんかそんな音と共に第一関節が少し腫れて痛み、指に力が入らなくなった。考えてみれば先週のボルダリングで痛めた箇所であり、嫌な予感がした。
    ボルダリングをやっていると、「指をパキッた」という話をよく聞く。指の筋腱や靱帯あたりを損傷することを総じてそう呼ぶらしく、私も最初は「ああとうとう私もパキッた…」と落ち込んだ。

    Google検索したら、近くにスポーツ整体院を謳っているところがあったので、翌日行ってみた。
    そして柔道整復師の人が私の指にひとしきり触って、こう言った。

     

    「これ…折れてますね」

     

     

     


    制作・著作
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    ⓃⒽⓀ

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    『ゴジラ-1.0』そして怪獣は時代の依代(よりしろ)となる【ネタバレ感想】

    ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)を観た。

    私はゴジラを拗らせ過ぎている、その自覚はある。
    ゴジラファンのみならず一般の人々をも映画館に呼び寄せ、記録的なヒットとなったシン・ゴジラは、個人的にはそれほど響かなかった。
    好きなゴジラ映画は初代ゴジラ(1954年)、ゴジラvsビオランテ、そしてレジェンダリー版ゴジラ/キングオブモンスターズ。次点でレジェンダリー版ゴジラ(2014年)。
    偏っていることは否めない。

    そんなめんどくさい人間が書く感想だということをご理解の上、この先をお読みいただきたい。

     

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    真摯な姿勢で作られたゴジラ

    ゴジラ-1.0は、間違いなく真面目に作られたゴジラ映画だ。

    シン・ゴジラの時のような、「えっこの国のどこにこんなにゴジラ映画を観る人が…?!」みたいな現象は起きないかもしれないが、真面目に作られているので観た人の評価は高いと思う。

    ゴジラの造形は禍々しくて恐ろしく、シン・ゴジラアメリカ版ゴジラの造形に引っ張られ過ぎない平成ゴジラっぽさも残しながら、VFXで滑らかな動きや生っぽい質感を表現していて好感が持てた。
    陸に上がると動きにやや不自然さがあったが、銀座を闊歩し、国会議事堂の前から戦車に攻撃されて怒る様は凄まじさすら感じた。

    ゴジラが熱線を吐く時に背びれが尾の先から光り始め、それらが身体に押し込まれてから発射するという機械っぽい演出は革命だと思う。

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    過去も希望も捨てきれない危うさ

    舞台が第二次世界大戦末期〜終戦直後にしては、登場人物の顔も服も全体的に綺麗すぎないかなと思ったが、気にしすぎと言われればそれまでだろう。

    主人公の元特攻隊員、敷島(演・神木隆之介)の戦争によるPTSDと思しき症状を丁寧に(時に丁寧すぎるほど)描いており、ゴジラも恐ろしいが人が殺し合う戦争の方が現実としてよっぽど恐ろしい、ということを描こうとしているのだと感じた。
    しかし、敷島の身の回りの人間ドラマにかまけて、大戸島にいた恐竜の生き残りのような“呉爾羅”が核実験で“ゴジラ”となった経緯が駆け足になっているのが少し残念だった。観客は初代ゴジラの設定くらいは理解しているはず、という前提なのだろうか。

    反戦思想や無力な政府への怒りを盛り込んだのは、現在の世界情勢を鑑みると妥当だろう。
    しかし、第二次世界大戦末期の日本産の戦艦や兵器への憧憬も色濃く感じ、やや危うさを感じた。

    劇中前半でゴジラの熱線を浴びて海の藻屑になった戦艦〈高雄〉は史実では戦後に自沈処理をさせられた船であり、海神(わだつみ)作戦で主要な役割を演じた元日本帝国海軍の戦艦〈雪風〉は不沈艦として名高い船だった。
    その時期の戦艦に明るくない私すら〈雪風〉の登場には鳥肌が立ったのだから、戦艦好きにはたまらないのだろうなと思う。
    そして決して実戦配備されることのなかった戦闘機〈震電〉の登場にも、恐らく「熱い」と感じた人は少なくないはずだ。

    私が雪風の名前が持つ意味を知ったのはこの小説から

    自国の兵器に憧れを抱いて何が悪いのか、と問われれば、私たちが第二次世界大戦における日本の立ち位置を学ぶことを怠り、その後の向き合い方も間違えている史実を振り返るべきだと思う。
    安易にその時代の兵器を憧憬を込めた眼差しで見ることには、再びその兵器を以て戦争に突入しない危うさを内包していないと誰が言えるのか。
    この映画では、それらの兵器を使い、限られた火薬量でゴジラに挑む。こういう不可能ミッションに燃える人も多かろう。
    だからこそ危ういのだ。


    唐突なオマージュと不吉な雨

    気になるところは他にもある。
    ゴジラが何故東京を目指すのか、明確にも暗喩的にも語られない。また、この映画のゴジラは人を喰わないので銀座で電車を咥える必然性はないが、それでも咥えている。
    初代ゴジラへのオマージュなのだろうが、初代ゴジラは人を喰うタイプだったからエサ満載の電車を咥えたのであって、戯れに噛み砕いたわけではない。

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    こう見えてお食事中

    その電車に乗っていた典子(演・浜辺美波)がミッション・インポッシブルばりの粘りを見せて水に落下するのは主人公補正ということにしよう。しかし、その後に海から揚がって再び銀座の雑踏の中に紛れて、家から駆けつけたと見える敷島と再会するのは些か唐突に感じた。

    さらに気がかりなのが放射能の扱いだ。
    銀座で熱線を発したゴジラにより(恐らく)国会議事堂は消し飛び、空には原爆を彷彿とさせるキノコ雲が上がる。そして間もなく、銀座に黒い雨が降り、典子を失ったと思った敷島はその雨に打たれながら慟哭する。
    その後のニュースでは放射能が有害であるというような主旨のことが言われ、銀座が封鎖されたことからある程度の危険性は認識されていると思われるが、黒い雨についてはどうなのだろう。


    こちらの予告では銀座が衝撃波で消し飛んでいる


    安全対策が二の次の決死作戦

    海神作戦についても、引っかかるところはある。

    前日、誰も命を捨てることなくゴジラに勝つ、と言いながら、〈雪風〉に乗り込んだ研究者や一般企業の人たちがヘルメットもライフジャケットも身につけていなかったり、〈震電〉に乗り込んだ敷島がゴーグルは身につけていたのにヘルメットを被っていなかったりして、物資不足が甚だしいのか見た目の問題かがよくわからなかった(ちなみに「誰も死なない」という目標はゴジラの鳴き声を囮にゴジラを誘導しようとした部隊が壊滅したことで達成はされなかった)。
    ゴジラも、出航直前の港に現れたのに、目の前の人間たちには目もくれず田園地帯に上陸したのは何故なのだろう。あそこで〈雪風〉か〈響〉のどちらかをサクッと踏んでいれば話が終わった。

    ゴジラが海の中で熱線を放った時、〈雪風〉の艦長が退避を求めると、学者(演・吉岡秀隆)が「ゴジラはあれを放ったらしばらくは回復するまで次のは出せない」と言うのだが、そういう大事なことは事前に言っておいて欲しい、と切に思った。

    典子の死後、敷島は戦中に達成することが出来なかった特攻をやり遂げようとゴジラと刺し違えることに執着する。
    結局最後の最後で敷島は生きることを選ぶが、正直なところ、橘(演・青木崇高)が「これが爆弾の安全装置を解除するレバーだ」と言われて引いたレバーが実は脱出機構で…みたいな生き残り方をして欲しかった。正直、戦争のPTSDはそれほど容易く治るものだろうか。


    ハッピーエンドで終わらせてくれない

    辛くもゴジラを倒し、敷島は生還する。そして、銀座で死んだと思われていた典子は怪我を負いはしたが生きていた。
    敷島と典子が再会し、一見ハッピーエンドに思えるが、敷島は銀座で黒い雨を浴び、典子もやはり銀座で負傷した。ふたりとも、放射能汚染は免れないように思う。
    しかもラストシーンで、典子の首筋に黒い染みのようなものが浮かび、深い海でゴジラの肉片が膨張して映画は終わる。

    これをハッピーエンドと言うには不安要素が多すぎる。
    予想されるのは、広島や長崎だけでなく、東京も放射能によって汚染され、死者がさらに積み上がる未来だ。


    ゴジラが乱反射する時代の空気

    私は、シン・ゴジラを観たあたりから、ゴジラとは、クリエイターたち、ひいてはその国と時代を内含する依代のようなものなのだろうと考えてきた。

    初代ゴジラ第二次世界大戦後、戦争の傷跡が人々の記憶にまだ残る中、水爆実験へのアンチテーゼとして生まれた。
    シン・ゴジラ東日本大震災と、その直後に起きた原発事故を日本人に想起させ、災害と人災を体現するものとして生まれた。
    モンスターバースのゴジラは、アメリカが第二次大戦後に行った度重なる核実験を正当化しつつ、アメリカ人が強く憧れ、そして決して持ち得ない神話の時代から君臨する太古の神として生まれた。

    ではゴジラ-1.0のゴジラは一体何なのだろう。
    2023年に、78年前の敗戦直後の日本を舞台にして生まれたゴジラには、何が込められているのだろう。
    再び戦争に突入するのではないかという不安か?
    あの戦争を繰り返してはならないという警告か?
    国民の方を向いていない政府への怒りか?

    ここで断言するつもりはないし、答えを出せるとも思わない。
    ただ、もし最適解がわかるとすれば、それは現在が過去になってからかもしれない。