わたしと英語は“わたしと映画”

このブログで、不定期に英語についての記事を書いているが、今回はキャンペーンに乗っかった形で諸々振り返ってみる。

初めに言っておくと、やたら長くなった。本当に長い(5,000文字近くある)。お暇な時にどうぞ。

私と英語の出会いは、映画との出会いとほぼ被る。
英語教育が始まる頃に、まずジュラシックパークの字幕版を映画館で観て度肝を抜かれた。

ジュラシック・パーク(字幕版)

ジュラシック・パーク(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

英語はまるで聴き取れなかったが、展開がわかりやすく、すぐに引き込まれた。

古い映画館で、背もたれの低い椅子に座って観ていたのだが、怖いシーンが怖すぎて椅子からだんだんずり下がっていった。真後ろに座っていた父が後に、「映画中に〇〇ちゃん(私)が消えたと思った」と語ったほどである。

余談だが、中学1年よりずっと幼い頃から、恐竜は私の憧れだった。その恐竜が人によって再び地球上に生を受け、人を魅了し、人に利用されそうになると人を喰らい蹂躙し、最後には追い出す展開が最高だった。

そして翌年、ディズニーの長編アニメ映画、ライオン・キングを観た。

ライオン・キング (字幕版)

ライオン・キング (字幕版)

  • 発売日: 2015/11/06
  • メディア: Prime Video
 

 当時、地元の映画館はいわゆる入替制でなく、1度チケットを買って入ったらいつまでもいてよかった。なので私は、ライオン・キングを続けて2回観た。

理由はこの人(ライオン)だ。


The Lion King: Be Prepared | Sing-A-Long | Disney

この映画におけるヴィラン(悪役)のスカーで、声優はイギリスの名優ジェレミー・アイアンズが務めた。

端的に言えば私は、このスカーの英語に恋をした。

脅しと宥めを自由自在に操る歌声、これぞ悪役と納得する邪悪で胸のすくような笑い声、そして美しいイギリス英語。

歌もそうだが、英語そのものがなんて美しい音楽だろう、と思った。私にとって英語は、世界で1番歌ってみたい歌だった。

今でもその気持ちは変わらない。

週末、封切りされたハリウッド映画を観に行く、というのが中高時の私の娯楽のメインストリームだった。

思えばその頃、ハリウッドはある種豊作の時代だった気がする。
スターウォーズ4,5,6やインディ・ジョーンズ3部作は過去の話だったが、前記した通りジュラシックパーク1作目が公開され、インデペンデンスデイ1作目、5代目007の1作目も出たし、今や6作品も作られたトム・クルーズ主演のミッション・インポッシブルの1作目も出たし、レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットが頭角を現し始めたのもこの頃だ。何なら隔週くらいでド級のハリウッド映画を観ていた気がする。やっぱり豊作の時代だった。

英語の授業も好きだったので、中高の英語の成績は良い方だった。ただその成績がハリウッド映画鑑賞の恩恵を受けていたかと言うと、よくわからない。確かに古文漢文の成績より遥かに自信があったので、もしもあの時あさきゆめみし三国志にハマっていれば、違う将来があったかもしれない。

日本の英語教育はスピーキングとリスニングに弱い、とは今でも言われるが、私がそれを痛感したのはアメリカ留学時のことだ。それについては過去記事に書いた気はするが、かいつまんで言うと、日本の大学で英語の論文を読んだりしていたのにも関わらず、スピーキングとリスニングのスキルが足りないということで留学生用の英語クラスでド初心者のクラスに振り分けられた。

で、留学は3年間。最終的には英語で講義を受けられるまでにはなったが、スピーキングは生来のコミュニケーション能力の低さが邪魔をして、せいぜい「海外で何かしらのトラブルがあっても何とか生きて帰ってこれるくらい」のレベルである。ちなみにこれは、「店やレストランで店員と会話しながら注文ができる」の1個上で、「雑談ができる」の2,3個下のレベルだ。(個人の感想です)

何かしらのトラブルには、在住時で言うと「アパートのネットが繋がらなくなったのでコールセンターに電話」「トイレが詰まって以下同文」「家から締め出されて以下同文」等々が含まれる。

旅行時で言うと「ホテルの部屋の金庫が壊れてフロントに電話」「部屋のマグカップを壊して以下同文」「ティッシュペーパーがなくて以下同文」「今日の今日でホテル内レストランでディナー予約のため以下同文」等あるが、数年前「当日移動しようとしていた先でテロ未遂が起きて、その日宿泊するホテルを調整し直すため電話交渉」というのが加わった。この先2度と起きて欲しくない。

時間軸をやや戻すと、前記の通り私はアメリカに留学した。場所はカリフォルニア。

初めて恋をした英語話者がイギリス人だったのに何故か、と言えば、中高の間に観た映画がほぼ「ハリウッド製」だったからだろう。留学先で主に学んだのは映画ではなかったが、英語はばっちりアメリカ英語を学んでしまった。

そうするとどうなるかと言うと、アメリカで字幕なしの何作目かのパイレーツオブカリビアンを観た時、頭痛が発生した。

パイレーツオブカリビアンは、主要キャストがほぼイギリス人俳優で占められている中、主役のジョニー・デップアメリカ人だったが、彼は役作りのためか訳のわからんアクセントの英語を話していた。要はイギリス英語と訳わからん英語のオンパレードである。それでも聴き取ろうとした結果、脳みそがオーバーヒート、頭痛のお出ましだ。

スカー(ジェレミー・アイアンズ)への愛はどこへ行ったんだ、と思うかもしれないが、私も驚いた。私のオールタイムベスト映画の1つはロードオブザリング3部作だ。あれも全編イギリス英語で、留学前の私はイギリス英語の方が聴き取りやすいと思っていた。しかしアメリカはカリフォルニアで英語を学んだ結果、耳がアメリカ英語になってしまったのである。

話は逸れるが、留学時、父親たちの星条旗硫黄島からの手紙という2本の映画がほぼ同時公開された。第二次世界大戦の日本の硫黄島で繰り広げられた激戦を扱った映画で、前者はアメリカ側から、後者は日本側から見た硫黄島の戦いを描いていた。私は両作をアメリカで観たのだが、あれだけ激戦を交わした敵国同士が、その後に築いた関係のおかげで自分がかつての敵国に留学しているという現実に、平和を真にありがたく思った。

そして現在(2020年3月29日)、世界中の国々が新型肺炎の封じ込めのためほぼ鎖国状態を選んでいる。一刻も早くこの禍が収まってくれることを願ってやまない。

さて、なかなか長くなってきたのでここからは駆け足で行こう。

留学から帰国後、職を転々とした。転々とした職の中には、あらゆるアクセント(英、米、豪、インド、ロシア、その他諸々)の英語を話す在日外国人の電話を受けまくるものがあり、留学以来、スピーキングとリスニングが最も鍛えられたのはそこだった。留学から帰国後数回TOEICを受けたが、その頃にも受けてリスニングが満点取れたのを最後に受けていない。間違いなく私のリスニングスキルのピークはあの時だ。

しかし一方、その頃が1番映画を観ていない時期だったと思う。英語のスキルが上がるのは良かったが、ありがちな人間関係とかそういう感じのアレで疲弊し、その仕事をやめた。しばらく体調を崩して、映画館は疎か家で映画すら観られなくなった。

じわじわ回復していく中で、私をもう1度映画に引き戻してくれたのが、"私と映画"と題しながら、これがドラマである。

SHERLOCK/シャーロック | シリーズ情報 | 角川海外TVシリーズ 公式サイト

イギリスBBC製作のSHERLOCK/シャーロックだ。

映画じゃないじゃないか、とお思いだろうが問題ない、この主役2人、ベネディクト・カンバーバッチマーティン・フリーマンはある映画で奇跡的に共演を果たす。

ロードオブザリングの前日譚、ホビット2作目の「ホビット/竜に奪われた王国」だ。
主役のビルボ・バギンスをマーティン・フリーマンが、そして洞窟の中で財宝を独り占めにしている竜スマウグをベネディクト・カンバーバッチが演じた。

 (竜がカンバーバッチ、右端がフリーマン)

端的に言えば私は、シャーロックの主演俳優であるベネディクト・カンバーバッチのファンになった。いわゆる推しが出来た。

そうやって私の英語と映画が再び合流した時、大いに役立ったのはYouTubeである。YouTubeには欧米の様々なトークショーの映像が公式チャンネルから配信されており、自由に観ることができる。そしてアメリカやイギリスの俳優たちが映画のプロモーションでそういったトークショーに出演しているのだ。しかしYouTubeアメリカ発のサービスであり、トークショーアメリカやイギリス向けのものであるから、日本語字幕は付いていない。

かくして私は、推しが何を喋ってるのか知りたくてリスニングをめちゃめちゃ頑張った。頑張っても6割聴き取れるかどうかという時もあるが、YouTubeは無料だし、推しの英語が何度でも聴けるというのは最高である。

いつしか映画館にも出かけられるようになり、前記のホビットも映画館で観た。

この辺りから、観たい映画を観に行く→出演俳優にハマる→英語でYouTubeを巡回、という一定のコースが出来上がった。そのおかげか、最近になって行った海外旅行でもあまり苦労はしていない(テロ未遂の時は除く)。

そして一昨年、私は初めてイギリスの地を踏んだ。信じがたいことに、ライオン・キングを観てイギリス英語のスカーに恋してから実に25年経っていた。

それまでいったい何をしていたんだ、と言われれば、ここ10年MCUにどっぷり浸かったり*1、ここ数年でまた新たにイギリス俳優の推しが出来て渡米したりしていた*2。一昨年の渡英も、その推し絡みである。推しを追いかけて海外まで行くことになろうとは、人生何があるかわからない。

さて、そのイギリスで驚いたのは、自分の英語が通じたということである。

お前は何を言っているんだ、と思われたかもしれないが、私も意外だった。しかし考えてみて欲しい、英語はイギリス発祥だ、"英"語と呼ぶのだから。そして私は主に"米"語を学んだのである。

イギリスの中央銀行であるイングランド銀行に行く用事があって立ち寄ったのだが、そこで話した英語が通じた。再度、お前は何を言っているんだ、と思われたかもしれないが、なんかわからんが感動したのである。もう1度行きたい、イギリスに。

現在、私の職は翻訳業界の末端にある。結局仕事も英語関係なのだが、全く稼げていないので、勉強しなきゃなあとぼんやり思いつつ、映画館や配信サービスで英語を聴く日々である。

正直、趣味も仕事も、やった方がいい勉強も英語絡みなのに、英語を嫌いになっていないのが不思議なくらいだ。

たぶん映画がある限り、ずっと英語が好きだろう。上手い下手はとにかくとして。

 

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by アルク「トーキングマラソン」

*1:ちなみにMCUでの推しはキャプテンアメリカだったが、前記のベネディクト・カンバーバッチがドクターストレンジとして、マーティン・フリーマンはCIAエージェントのエヴェレット・ロスとして、間接的にではあるがここでも共演している。洋画沼こわい。

*2:テロ未遂のゴタゴタを補って余りある充実した旅だった。