【映画で学ぶ英会話】会話で頻出する"省略"〜『コードネームU.N.C.L.E.』編

 コードネームU.N.C.L.E.の日本公開から5年ということで、先日、有志の方々がシアターを貸し切って催された上映会に足を運んだ。

 何度も何度も観ている映画なのに、場内が暗くなり、スクリーンに描かれるワーナーブラザーズのロゴと共にサントラが流れ始めると、言い様のない喜びが込み上げて来た。

 多分、コードネームU.N.C.L.E.は私の人生の中で最も多く観た映画だと思うし、これからも観続ける映画だろう。

 そんなわけで再び、もとい5回目のコードネームU.N.C.L.E.で学ぶ英会話である。

titlacauan.hatenablog.com

  あらすじは過去記事を見ていただければ書いてあるし、本作はBlu-rayやDVDで発売中のほか、AmazonプライムおよびNetflixで配信されているので、こんなブログ記事を読んでないでそちらを観ていただくのもやぶさかではない。

コードネームU.N.C.L.E. [Blu-ray]

 で、改めて貴重な機会をいただいて、真剣に観ていたら、会話が軽快だと思ったのと同時に、英語を学び始めた頃には面倒だなあと思っていた省略構文が台詞に頻出していることに気が付いた。

 省略構文とは、動詞やbe動詞の後ろ部分を省略する構文のことである。と言っても(私を含め)何のこっちゃなので、以下を見ていただきたい。

 まず初めに紹介するのは、主役のCIAエージェントのナポレオン・ソロが東ベルリンに潜入し、CIA当局の手から逃げた元ナチスお抱えの科学者の居所を探して、その娘であるギャビーを訪ねたシーンである。

 あまり友好的な態度を示さないギャビーは、ソロを見て言う。

ギャビー:①You look important. ②Or at least your suit does.

字幕/偉い人なの? スーツは偉そう

 上記の太字と下線の引いた単語に注目してほしい。

 ①の文のlookが、②の文ではdoesという代動詞に置き換えられ(主語がyour suitなのでdoでなく三単現のsがつく)、更に①のlookの後ろのimprtantも略されている。

 何でこんなに略しまくるのか? と思うが、英語で略した部分を括弧[]、日本語部分は【】で補って日本語に直訳してみるとその気持ちがわかる。

①You look important. ②Or at least your suit does[(=looks) important].

①あんた偉そうに見えるね。②少なくともスーツは【偉そうに見える】

 ②の、「スーツは~」の後、略したくはならないだろうか。なった? ならない? なったと仮定して次へ行こう。

 というわけで、この台詞は映画が始まってまだ3分半の時点で出てきており、その後もざっくざく出てくる。

 以下、直訳の括弧【】内は省略されている部分。

ギャビー:What makes you think I know where he is?

字幕/なぜ私の元に?

直訳/あんたは何で私が父の居場所を知ってると思うの?)

ソロ:I don't think you do, but I think you know someone who does.

字幕/彼の行方を知る者がいる

直訳/君が【父の居場所を知っているとは思わない。だが【父の居場所を知る人物は知っていると思う。

  これまでの例で気付いたかもしれないが、省略構文では、動詞は代動詞としてdo/does/did/doneに置き換えられる(be動詞は除く)。

 基本的に省略構文は、前文で出た語句を繰り返さないよう使われる、と思っておけば、たぶん間違いはない。

 

 次は、仮定法過去が絡んだパターン。

ソロ:If I had fifteen minutes, we'd drink tea, eat biscuits, I'd talk, you'd laugh, and we'd be on our way. Unfortunately I don't.

字幕/15分あったら、お茶でも飲んでゆっくり説明できる。だが時間がない。

直訳/15分あったら、お茶を飲んで、ビスケットかじって、僕が話して、君が笑って、一緒に出掛けただろう。残念ながら、【時間がない

 仮定法過去で語られた「15分の時間」が、今はない(I don't [have fifteen minutes].)という意味になる。

 

 続いては、be動詞のパターン。日本語訳は字幕のまま。

ソロ:A flaw was people who designed this model are not very good at stealing things. I, however, am.

字幕/これの欠陥とは、これを設計した者が物を盗み出すのが得意じゃなかったことだ。しかし俺は、得意だ

 これもめちゃくちゃ省略している。
 前文の「people (who designed this model) are not...」に対し、ソロはそれを否定するためnotを取り、「I, however, am.」と言っている(howeverは「しかしながら」という対比の意味を表す副詞)のだが、これがめちゃくちゃカッコいい
 余計な語句を繰り返さないことで文章がコンパクトになり、端的にソロが自惚れている様がこの短い一言で知れるのである。

 

 さらに、映画の後半では最初から省略されているパターンで出てくる。

Kill him if necessary.

字幕/必要なら彼を殺せ

ここでは、if節の主語と動詞が省略されている。といっても何のことだよという感じなので省略部分を括弧[]で付け加えてみる。

Kill him if [it is] necessary [to kill him].

 とまぁ見事な堂々巡りになるので、省略もやむなし。

 

 多分、台詞をもっと細かく見ていけばまだまだ出て来ると思う。実際、この記事を書くのに観返してたらもう1か所見つけたが、キリがないのでこの辺にしておこう。 

 

コードネームU.N.C.L.E. はいいぞ。

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※記事中のAmazonリンクをクリックしても筆者には一銭も入らないが、コードネームU.N.C.L.E.は面白いので観てください。