シャン・チー/テン・リングスの伝説【ネタバレ感想】

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シャン・チー/テン・リングスの伝説|映画/ブルーレイ・DVD・デジタル配信|マーベル公式

以下すべてネタバレです。(ふせったーからの転載)

 

シャンチー観た。なるほどこれはよいトニーレオンだ、湿度が高い。この世に思い通りにならないことなどなかったのに満足せず、ようやく得た伴侶に先立たれ、未練タラタラで子供たちを顧みず亡妻を取り戻せば全て丸く収まると思ってる虐待親。
そして情が深いのに情をかける方向を間違えて自分が悪いのにその自覚がないダメ人間なのにめちゃくちゃ武術に長けてるとこが好きだトニーレオントニーレオンではない、ウェイウーです)。

・昔からカンフー映画でよく見てた「何だかんだ言って太極拳が1番強い」をやっていてそうそうこれよこれ! こうでなくっちゃ! ってなった。
あれが太極拳じゃなかったらすみません、シャンチーたちの母親のイン・リーやイン・ナン(ミシェル・ヨー)がやっていたあの力をいなす武術です。

・モーリスとかに代表されるような中国の伝説上の動物(帝江/混沌を動物と定義していいのか謎だけど)の鳳凰とか麒麟とか九尾の狐とか獅子とか龍とかを映像化したのは新しかったのかもしれないけど、伝説の中で神ともされる帝江に加えて、瑞獣とされた鳳凰(飛びながら燃えてる鳥、あれ鳳凰だよね多分)や麒麟や九尾の狐が群れを作ってたりして”家畜化”されてしまって、神話の生き物というよりファンタスティックビーストのマーベルverにしかなってなかったかもな〜と思うと少し複雑ではあった。
あと魔物が総じてタコっぽいのは欧米的だな〜と思った。

シャンチーってケイティがホテルの客の車に先回りして乗って中からロックかけた時、運転席の窓が全開なのにも関わらず絶対自分で手を出してロックを開けようとしないところが本当に良い奴だな〜と思った。

・ウェンウーがシャンチーとシャーリンとケイティと囲んだ食卓で、笑い話だって言いながら話してることがひとつも笑えない話なのがダメ親父全開でケイティもドン引きだけどとりあえず空気的に無理矢理にでも笑わなきゃいけないみたいな、機能不全の家族だけじゃなく威圧的な年長者を囲んだ食事や酒の席ににありがちな地獄絵図が繰り広げられていて本当にゾッとした。
ウェンウーは恐らく自分を思いやりのある父親と思って振る舞っているところが更に怖い。

・ウェンウー、幾層ものレイヤーで形作られた複雑で魅力的なキャラクターだけど、魅力的と呼ぶことは決して支配的でネグレクトな父親像を肯定することではないし、最後にシャンチーを庇って死んだからと言って絶対チャラになるもんではないよな。
ウェンウーがシャンチーに、妻が死んだ時のことを責めた瞬間に本当に同情の余地が1ミリもないなと思った。シャンチーはその時たった7歳だったんだぞ。1000年生きてきたのにウェンウーにはそんなこともわからなかったんだよ、救いようがない。

・そういえばシャンチー観て改めて(村を)焼き払うは英語でburn (it) downなんだなぁと思った。しかもその「村を焼き払え」のセリフを言うのがトニーレオンだというご褒美。

・冒頭、ウェンウーがテンリングスを手に入れたのは、火山の火口で見つけたとも誰かの墓から奪ったとも言われている、という話で火口…?それ何ていう名前の滅びの山ですか?と思ったの思い出した。
何ならゴラムは自分が殺した従兄弟から指輪を奪ったし、ウェンウーも複数の腕輪(rings)の持ち主(Lord)だね…?(※指輪物語の原題→The Lord of the Rings
という寝言です。