常に半ドア。

ドアなんてちゃんと閉めなくていいから走ったらええんや(運転中は閉めろ)

だが、今日ではない

春は芽吹き時という。

私はその時期が近付くと、職場の人間関係が変わるわけでもないのに(そもそもフリーランスで在宅勤務だ)、具合が悪くなる。花粉症はデフォルトだが、消化器系の調子が芳しくなくなるし、思考も後ろ向きになる。眩暈はほぼ慢性的なものだが、精神の不調と相まって体調がコロコロ変わる。

もう10年近くこの状態なのだが、これは一般に自律神経失調症と呼ばれる。それが春に本領発揮するのである。

だから春はあまり好きではない。けれど、私が眩暈でグラグラしている時に、周りの人が楽しそうにしているのを妬む趣味はない。

いやむしろ、大いに楽しんで欲しい、とこの春は特に思った。

私の体調がザワザワするのはいつものことなのでまあ良い。だが、世間はザワザワして欲しくない。勝手な話だが、本音だ。

それにこの春は私個人の事情も重なった。数日の入院を要する手術を受けることになっていた。命に関わることではなく、QOLを上げるための手術だ。

年明けから診察や検査、入院の案内に手術説明、手術のための服薬と手続きを進める毎に、世間が、いや世界全体がザワザワしていく。新型コロナウィルス、てめえのことだ。

私は花粉症である以前に、幼い頃に喘息を患っていた。もう気管が狭くなるほどの発作はないが、花粉症と共に軽い息苦しさを感じることがあるので、抗アレルギー薬と喘息の薬を併用している。

更には去年の春、夜中じゅう咳が止まらない風邪を引いた。あとであれが軽い肺炎だったと知った。去年以来、多分このまま運動せずに行くと呼吸器系が原因で死ぬだろうな、とぼんやりと思い、最近エアロバイクを漕ぎ始めた(もう少し早く始めればよかった)。

そこに肺炎を引き起こす新型コロナウィルスである。何度か病院に行った後はもう、入院日まで息を潜めるようにして過ごすしかない。

ちなみに手術前の準備として服用している薬の副作用は主に「頭痛、めまい、吐き気、うつ状態etc.」であったが、それらの症状は私の春の標準装備なので、もはや何が原因でザワザワしているのかわからない。

そこへ来て東京都に緊急事態宣言と来たもんだ。

期日直前に入院&手術のドタキャンを食らった。不要不急の入院を減らすため、ということらしい。しかも、いつ出来るかわからない手術のため上記の副作用を持つ薬の服用は続行である。

人生で病院側から入院のドタキャンを食らうことなんてあるだろうか。2度とあって欲しくない。

何ならドタキャンと服薬続行でちょっとうつ状態になりそうな勢いだ。潜めていた息は一瞬詰まった。ちょっと泣いたし、入院&手術予定だったはずの数日間を家で過ごしていた時は完全に沈んでいた。

 

そうして3週間ほど経った。今のところ幸いにも自分および身内は体調を崩してはいない。精神的に、という話ならアメリカの小学生ばりに我先に手を挙げる。しかしこれは敗北宣言ではない。

もうダメだ、と思ってからが本番みたいなハリウッドのアクション映画みたいに、とんでもなく粘りたい。

洋画には、「だが、今日ではない」というセリフが出て来る映画が何本かある。大抵は主役たちが絶望的な闘いを強いられるか退却を迫られる場面で、それでも力強く、時には微笑みながら、彼らは言う。

「だが、今日ではない」と。

英語だと"But this is not today."とか、"But it is not this day."とか言うが、字幕はだいたい同じだ。

 

 

「みんないつか死ぬ」

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「全てを諦めなければいけない日が来るかもしれない」

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youtu.be

 

「敵に負け希望が砕け散る日が来るかもしれない」

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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (字幕版)

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人間と疫病の闘争の歴史は長い。よって今回の闘いも長くなるだろう。

みんなでがんばろうとか、こんな時だからこそ前向きにとか、言うつもりはない。言える思考回路があったらこんな文章を書いてはいない。

行先を案じ絶望する日があっても、ぽっきりと心の折れる音が聞こえる日があっても、どこかで誰かが、「だが、今日ではない」と言っている。

 

そしてそれは正しい。