楽しい映画で何が悪い/チャーリーズ・エンジェル【ネタバレ感想】

チャーリーズ・エンジェルを観てきた。

 

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公式サイト

 

そもそもあんまり観る気はなかったのだけど(本国で不評と聞いた)、以下の記事を読んで観たいと思った。

『チャーリーズ・エンジェル』は「フェミニズム的に問題がある」の問題 - wezzy|ウェジーwezz-y.com

ネタバレなしの感想はというと、

こういう映画今までたくさん観てきたな、男だらけのキャスティングで。

だった。

ハリウッドのアクション映画が好きでたくさん観てきたけど、キャスティングはだいたい男5に対し女1〜2私見)だった。そしてチャーリーズ・エンジェルでその比率が逆転したからと言って、特に何の問題もなかった。

こりゃあ男は居心地悪いだろうなと思う演出はいくつかあったけれど、それが何だって言うのだろう。今まで、男に利用されるだけの女性を映画の中で山ほど見てきた。

お色気だけを添えるためにヒーローの脇にいる女、敵の情報を得るためだけに抱かれる女、ギャーギャー騒いでトラブルを招くだけの女、ヒーローを窮地に陥れるため敵に利用されるだけの女、ストーリー進行には邪魔なことしかしないのに何でいるんだろうという女etc.

だったら、この映画みたいな展開もアリだろう。これはフェミニズムのための映画じゃなくていい。ポップコーンムービーだ。頭を空っぽにして観る映画に、主義主張なんぞなくていい。

エンジェルたちの人種がバラエティ豊かなのは時代だろうけど、サビーナ(クリステン・スチュアート)、ジェーン(エラ・バリンスカ)、エレーナ(ナオミ・スコット)のバランスがとても良い。

ずーっと軽口叩いてるけど決める時は決めるサビーナ、プロ意識が高くメチャ強いジェーン、巻き込まれた一般人SEだけどいざという時に芯の強いエレーナ。

全員カッコいい。そしてこの3人のシスターフッドが全編に渡ってとても心地よい。それだけ?と言われれば、それのどこが悪いんだろう、と思う。

オーシャンズ8が公開された時にも、「ストーリーに無理がある」とか何とか文句が出た記憶がある。だったら、オーシャンズ11ジョージ・クルーニーが出てた方)がそんな折り目正しい映画だったか?って話だ。続編が出る毎に割とアホな展開はあったよ、付け鼻がデカすぎてシャンパン飲めないマット・デイモンとかいたじゃん。

007も、ミッションインポッシブルも、オーシャンズ11も、やりたいことやってんだからチャーリーズ・エンジェルにだけフェミニズムを求めるのはおかしな話だ。

だからこれから、こういう映画がどんどん増えればいいと思う。

 

以下ネタバレです(ふせったーからの転載)

 

キャスティングが憎い。サー・パトリック・スチュアートが出て来たらさ、もう頼りになると思うじゃん!ストーリー後半まで完全にミスリードに引っかかって、女性のボスレーの方が黒幕だと思ってた。

映画の冒頭、クリステン・スチュアートが演じるサビーナが、
「女であることは(エンジェルの)仕事に有利なの。(中略)美女なら男を油断させられる。ブサイクなら存在感を消せる」
と言ったことにハッとして、そうだ女性はいつもそういう役回りだよなぁと思った。でも私自身も、自分のバイアスをそう易々とは取り払えないことを映画のラストで知らされる。

サー・パトリック(もボスレーという役職なんだけど便宜上サー・パトリックと呼ぶ)が開いたパーティーで、たくさんのギャラリー(敵の部下オンリー)がいる中、ボスレー(女性の方)がサー・パトリックに打ち倒され、まさにピンチという時に暗転。次に灯りがついたら、パーティーに出席していた客のうち男性だけが全員倒れて、サー・パトリックは負ける。出席者のうちすべての女性たちがエンジェルだったというわけだ。
私は驚いた、自分のバイアスに。パーティーにいた女性たちに注目もしてなかった。サー・パトリックの部下たちは皆男性で、エスコートとして女性たちを連れて来ていた。まさにお飾りとして。
けれど、パーティーでサビーナやジェーンとめっちゃ踊ってた女性たちも、エレーナがホダック(ターミネーター2のT-1000に似ている)と格闘した結果ホダックがパーティーのディスプレイに刺さって死んだ時に悲鳴を上げた女性たちも、DJの女性も、みーんなエンジェルだった。
「美女なら油断させられる。ブサイクなら存在感を消せる」とサビーナは言ったけれど、現実はもっとひどい。綺麗に着飾った美女だって、ああいう場ではまるで存在そのものを認識されていないことを、身をもって知ってしまった。

ジャンル分けするならアクション映画(ポップコーンムービー)なんだろうけど、すごく大事なことを教えてくれた映画だと思う。