英語を学ぶのに、映画ほどいい素材もないと思っている。
ネイティブの人が普段の会話のスピードで英語を話すのが聴けるし、DVDやBlu-rayは英語字幕が出る(出ないものもあるけど)ので、「今何て言ったんだろう?」が疑問のままで終わらずに済むのは本当にありがたい。
コードネーム U.N.C.L.E.のざっくりしたあらすじ:
1963年、東西冷戦の真っ只中。ナチスの残党がロケット科学者を拉致し、核兵器を作ろうとしている。その情報を掴んで動き出したのはアメリカCIAとソ連KGB。敵国のスパイ2人が、共通の目的のためにやむを得ず手を組む。ところがこの2人、相性は最悪でーーー?(続きは本編で)
さて、この映画には、前述した通りCIAのスパイ(写真左)が出て来る。名をナポレオン・ソロ。アメリカ人だけど英国かぶれで、いつも三つ揃えのスーツをきっちり着ている。かつては世界を股に掛けた詐欺師で、CIAに捕まったもののその才能を買われて投獄の代わりにスパイをやっている、チートなキャラクターだ。
で、彼の話すアメリカ英語は、映画の舞台が1960年代ということもあり現代よりもややゆっくりめで聴きやすい。私は彼の英語を最初に聴いた時に思った、「ラジオ英会話かな?」。
さて、冒頭のシーンで彼は、東ベルリンの自動車修理工の女性、ギャビーに複数の「お願い」をする。
1つめがこちら。
Do you mind terribly if I borrow your car?
「君の車を借りても怒らないか?」
Do you mind if~?で、「~しても構いませんか?」という丁寧な尋ね方になる。
mindは「気にする」「嫌な気持ちになる」という意味があるので、例えば何かを借りるとか、暑い・寒いで窓を開けるとか、相手の了承が必要な場面で使われる。
で、mind terriblyで「すごく気にする→怒る」となるわけだが、普段の会話で使う時にterriblyはまず必要なし。ちなみにこの副詞が使われた意味は、このシーンの少し後で判明することになる(映画を観るとわかる)。
2つめは、ギャビーの車で逃走中、後部座席に隠れたソロが運転席の彼女に言う台詞。
Could you pass me that brown paper bag from my case, please?
「僕のカバンから茶色の紙袋を取ってくれないか?」
真ん中がやたら長いので聴き取りづらいかもしれないが、大事なのは最初と最後。
Could you~, please?で、「~してくれませんか?」となり、これも丁寧な表現。1つめよりはこちらの方が旅行などではよく使う気がする(個人の感想)。
このように丁寧な話し方をするソロだったが、この後、
When you hear something that sounds like gunshot, drive.
「銃声のような音を聞いたら、車を出せ」
と言う。
動詞の原形のみ→命令形なので、お願いと命令を巧みに使い分けている詐欺師の顔が垣間見える。
以上、映画で学ぶ英語でした。